動作AI · 5-1 · 緊急ミッション

CCTVとゴミの投棄 — 人を棒人間に変えてとらえる

午前2時、路地のCCTVに、誰かが缶を投げて姿を消す様子が映った。コンピュータは画面の数百万個の数字から人を探し、その人を関節13個の棒人間に変え、棒人間の動きを数個の数字(特徴)にまとめて「投棄かどうか」を判定する。人が決めたルールがどこでだまされるのか、学習が何を直すのか、そしてなぜ「どこに落ちたか」が最も重要な手がかりなのかを最後まで追いかける。

6,220,800フルHD CCTVの1フレームの数字の数
26棒人間の1フレームの数字の数(関節13 × 2)
4つ人が決めた動作の特徴
60.7%「手首が速ければ投棄」ルールのテスト正解率(コード2)
99.7%特徴4つ+ロジスティック回帰のテスト正解率(コード2)
2つColabですぐ動かせるコード
1通報

午前2時の通報 — 「誰が捨てたのか見せてくれ」

CCTVの管制室には画面が何十もある。人が一晩中すべての画面を見張ることはできない。研究室が受けたミッションは一つだ。ゴミを捨てる「動作」をAIが先に見抜けるようにせよ。

[SYSTEM] 02:13 · CAM-07 路地 · 不法投棄の疑いの通報1件。添付:映像3秒、管制記録1枚。
博士
博士映像1本に数字が何百万個もあるんだ。そこからいきなり「投棄」を探そうとすると迷子になる。順番を決めよう。人を探す → 棒人間 → 動きの特徴 → 判定。
助手
助手棒人間ですか? 顔は残さずに骨組みだけ残すってことですか? じゃあ、誰が誰かはわからなくてもいいんですね。
ショウジョウバエ研究員
ショウジョウバエ研究員落とし穴が一つある。手を勢いよく振る人と缶を投げる人、手首だけ見るとどっちも同じくらい速いんだ。缶がどこに落ちたかまで見なきゃいけない。
研究室ロボット場面6種類とテスト場面300個を用意しました。ルール2つと学習モデル3つを当ててみます。
左は路地で缶を投げる棒人間が赤い枠で示されたCCTV画面、右は管制室のモニターの警告表示を指さす管制員の棒人間と、喜ぶ博士、ショウジョウバエ研究員
管制室の警告画面。この場面にたどり着くまでの道のりを、セクション2~6で順に作っていく。
セクション 2 · 3画面 → 人 → 関節13点

600万個の数字から人を探し、姿勢を26個の数字にまとめる

セクション 4 · 5時間 → 特徴4つ → 判定

46フレームの動きを特徴4つに要約し、ルールと学習を比べる

セクション 6 · 7管制室 → 限界

リアルタイムのスコアと判定保留、そしてこの方法が外れるところ

2画面は数字

CCTV画面は数字である — 名札のない600万個

コンピュータが受け取るのは写真ではなく、マスごとの赤・緑・青の強さ(0~255)である。表示方法を切り替え、画面の上にマウスを乗せてみよう。

表示
マスの大きさ

初心者向けの解説

フルHD CCTVの1フレームは横1,920 × 縦1,080マスで、マスごとに赤・緑・青の3つの数字がある。1,920 × 1,080 × 3 = 6,220,800個。毎秒30フレームなら、1秒で1億8,662万個になる。この数字のどこにも「人」や「ゴミ箱」という名札は付いていない。だから最初の段階は、数字の山から何がどこにあるのかを見つけることである。写真が数字の行列になる過程は4-2で詳しく扱う。

3人を探す

人を探し、棒人間に変える — 物体検出と姿勢推定

2段階である。まず物体検出が、人・ゴミ箱・缶の四角(バウンディングボックス)を見つける。続いて姿勢推定が、人の枠の中で関節13か所の座標を見つける。レイヤーをオン・オフしてみよう。

夜の路地のCCTV画面。光る棒人間が右腕を伸ばして缶を投げ、缶は点線に沿って左のゴミ箱の方へ飛んでいく

座標は、図(1402 × 1122)から関節の点を直接読み取って写した値である。左上が(0, 0)で、下に行くほどyが大きくなる。人と向かい合っているので、画面の左側の腕が「右腕」である。

レイヤー
なぜ棒人間なのか
  • 小さい:姿勢一つが26個の数字である。同じ画面のピクセルは600万個を超える。
  • 服や照明に左右されにくい:黒いパーカーでも白いシャツでも、昼でも街灯の下でも、腕の角度は同じ数字になる。
  • 顔を残さずに済む:判定に必要なのは動作である。関節だけを保存すれば、個人を特定できる情報を減らせる。
その代わりに失うもの
  • 物体:棒人間には缶もゴミ箱もない。そのため、物体検出の結果(缶の位置)も一緒に持っていかなければならない。セクション5ではこれが決定的になる。
  • 隠れと暗さ:腕が体に隠れたり暗すぎたりすると、関節を見つけられないか、見当違いの場所に点を打つ。
  • 手の形:13点には指がない。「握ったか、開いたか」は別に見る必要がある。

実際にはどんな道具を使うのか

物体検出にはYOLO系 [R3]が、姿勢推定にはOpenPose [R1]やMediaPipe [R5]が広く使われている。関節の番号体系はCOCOデータセットの17点 [R2]が事実上の標準である。このページでは、COCOの17点から両目の2点と両耳の2点を除き、頭を鼻の1点で代用した13点を使う。

4時間へ

棒人間を時間に沿って広げる — 動作は数字の列である

投棄は一枚の場面ではなく、3秒間の動きである。6つの場面を選んでみよう。黄色の点線は右手首の軌跡、下のグラフは手首の速さと缶の状態である。

場面

これらの場面はどこから来たのか

6つの場面は実際の映像ではなく、関節の角度を時間とともに変えて作った合成データである。身長を1とする単位(身長1.7 m基準)を使い、投げた缶は重力を受けて放物線を描いて飛ぶ。コード1の関数とこの図は同じ計算である。実際の映像なら、セクション3の姿勢推定がフレームごとにこの座標を作ってくれる。

5ルール対学習

特徴4つ、ルール対学習 — 速い腕がそのまま投棄とは限らない

1,196個の数字を、人が選んだ特徴4つにまとめる。そのうえで2通りの方法で判定する。人が決めたルールと、データから学んだモデルである。しきい値を動かして、ルールがどこで間違うかを探してみよう。

ルール
手首の速さのしきい値2.0身長/秒

コード2の実験 — テスト場面300個、検出器5つ

6つの場面の速さ(×0.8~1.25)・位置・動作の大きさ(×0.75~1.25)を変えて学習用600個、テスト用300個を作り、関節座標に揺れ(姿勢推定の誤差)を加えた。正解は結果で決める:缶がゴミ箱の外の地面に残れば投棄。 そのため「遠くに投げる」でも、強く投げて箱に入れば正常である(テストの投げる場面のうち投棄は52%のみ)。マスの数字はその場面を投棄と判定した割合で、正解と5%p以上ずれたものは赤で示した。

ルール1(60.7%):手を振る場面の94%を投棄と判定した(誤報)。ゆっくり落とした投棄は98%を見逃した。

ルール2(76.7%):「手放したか」を加えたことで、手を振る場面の誤報は消えた。しかし落とす場面は相変わらず見逃し、箱に投げ入れた正常な場面まで投棄と判定してしまう。

特徴4つ+ロジスティック回帰(99.7%):学習した重みは[速さ −0.33、手放し 1.16、箱からの距離 3.93、遠ざかり 1.19]である。手首の速さにはむしろ小さな負の値が付いた。モデルが選んだ最も強い手がかりは「缶が箱の外の地面に残ったか」である。

座標をそのまま入れたMLP(92.3%):投げる「形」は学んだが、箱に入った投げにも警報を鳴らした(誤報19個)。物体の座標2つを加えても良くならなかった。1,288個の数字の中から「最後のフレームの缶のx座標が箱の外か」を、学習データ600個だけで見つけ出すのは難しい。

この結果の読み方

  1. 特徴をうまく選べば、モデルは単純でよい。 99.7%になるのは、「箱の外の距離」という特徴が正解の定義とほぼ同じだからである。その代わり、この特徴は缶とゴミ箱を正確に見つける物体検出に全面的に頼っている。
  2. 座標をそのまま学習すれば人が特徴を選ぶ必要はないが、データがはるかに多く必要になる。 実際の研究では、関節のつながりの構造をそのまま使うグラフニューラルネットワーク(ST-GCNなど)[R4]でこの問題を減らしている。
  3. この数字は合成データでの結果である。 実際の路地の映像では、隠れ・暗さ・複数の人のせいで、どの検出器も成績が落ちる。数字そのものより、「どの場面で間違えたか」のパターンを見よう。
6管制室

ライブ管制室 — フレームごとにつけ直すスコア

コード2のロジスティック回帰が学んだ重みをそのまま使う。これまでに見たフレームだけで特徴4つを計算し直してスコアをつける。0.6以上なら警報、0.4~0.6なら判定保留として人に引き渡す。

投棄スコア
場面

なぜ判定保留を設けるのか

誤報は罪のない人を疑わせ、見逃しは取り締まりを無力にする。二つのミスの重さが違うので、基準を一つに決めるのは難しい。そこで、スコアがあいまいな区間(ここでは0.4~0.6)は自動で判定せず、管制員が映像を直接見るようにする。AIは「どの画面を先に見るか」の順番を決めるところまでに使い、最終判断と責任は人が負う。「ランダムな場面」を何度か押して、箱に入った投げや弱く投げた投げを探してみよう。

7限界

この方法が外れるところ、そして次のミッション

棒人間と特徴4つは理解しやすく軽い。そのぶん、取りこぼすものもはっきりしている。

うまくいく理由
  • 小さなデータ:姿勢が26個の数字なので、軽くて速い。管制室の何十もの画面を同時に見られる。
  • 説明できる:「缶が箱の外に残り、手放したあと0.77だけ遠ざかった」のように、判定の理由を数字で言える。
  • 顔なしで:動作だけで判定するので、保存する個人情報を減らす設計が可能である。
限界とリスク
  • 物体検出に頼る:最も強い特徴は「缶の位置」である。暗くて缶が見つからなければ、検出器も一緒に崩れる。
  • 合成データの限界:ここでの場面は6種類だけである。実際には、ゴミ袋を置く、他人のゴミを移すなど、定義があいまいな場面が多い。
  • 法と責任:公共の場所のCCTVは個人情報保護法の映像情報処理機器の規定に従う。設置目的、案内板、保存期間を確認し、AIの判定だけで処罰しないよう、人が最終確認を行う。
  • 偏り:特定の服装や体型で姿勢推定がよく間違えると、その人たちに誤報が集中しうる。集団ごとの誤り率を別々に見る必要がある。
棒人間のフィルムストリップと関節番号表、特徴の棒グラフの前で喜ぶ助手と、指し棒で説明する博士
次のミッション予告 · 棒人間の動きが特徴になる場面
博士
博士とらえるのはできた。今度は逆に行ってみよう。特徴を見て「投棄」だと見分ける代わりに、「投げる」という言葉を与えたら、棒人間に投げる動作を作り出させることはできないか?
助手
助手見分けるAIから作るAIへ、ですか? じゃあ、動作データがものすごくたくさん必要になりそうですね。
ショウジョウバエ研究員
ショウジョウバエ研究員それが5-2のミッションだよ。同じ特徴表で、矢印の向きをひっくり返すだけでいい。

Colabコード — このページを自分で実行してみる

どちらのコードも、Colabに標準でインストールされているライブラリだけを使う。「ノートブック(.ipynb)をダウンロード」したあと、Colabでファイル → ノートブックをアップロードから開くか、コピーして新しいノートブックのセルに貼り付ける。

コード1 · 棒人間の場面を作り、特徴4つを取り出すセクション3~5と連携 · numpy, matplotlib · CPU 1秒未満

関節の角度から棒人間を描く関数(fk)、6つの場面、特徴4つを計算する。セクション5の上の表と同じ数字が出る。自分のデータに置き換えるには、clip()が返す関節座標の代わりに姿勢推定ツールが出した座標を入れ、人の身長が1になるように割る。

実行結果(2026-10-05実行、numpy 2.4 · matplotlib 3.10 · CPU)。乱数を使わないので、いつ実行しても同じになる。グラフ2枚(場面ごとの手首の速さ、投げる動作の4フレーム)も一緒に出力される。
コード2 · ルール対学習 — 投棄検出器5つの比較セクション5・6と連携 · numpy, scikit-learn · CPU 約20秒

場面を変えながら学習用600個・テスト用300個を作り、ルール2つ、ロジスティック回帰、MLP 2つを比較する。セクション5の実験表とセクション6の管制室の重みは、この出力からそのまま作られる。

実行結果(2026-10-05実行、numpy 2.4 · scikit-learn 1.8 · CPU)。データのシードは固定したが、ライブラリのバージョンによってMLPの数字は少し変わることがある。

AI応用プロンプト — このコードを出発点にする

ChatGPT、Qwen、ClaudeのようなAIアシスタントに貼り付けるプロンプトである。「コピー」を押すと、プロンプトの後ろに選んだコードが一緒に付く。〔 〕の中を自分の状況に書き換えて使えばよい。

一緒に付けるコード

AIの答えは出発点にすぎない。提案された論文・数値・ライブラリ関数は、必ず原文と公式ドキュメントで確認する。実在の人物が映る映像を使うときは、撮影の同意と個人情報の取り扱い規定をまず確認する。

用語集

本文の黄色い点線下線と同じ辞書である。セクション名を押すと、最初に出てきた場所へ移動する。

たとえ集 — そして、たとえが外れるところ

たとえは理解の第一歩だが、誤解の種にもなる。人の知覚と比べたたとえには強さを示した。直接 実際に同じ働きをするという根拠がある · 部分 一部の性質だけが似ている · なし 対応するものが知られていない

概念日常のたとえ人の知覚のたとえたとえが外れるところ
物体検出写真の中の人ごとに付箋を貼る部分 一目で「あそこに人がいる」と気づくこと付箋は人が正確に貼るが、検出器は確信度とともに間違った枠も出す
姿勢推定写真の上に針金人形を重ねる部分 いくつかの点の動きを見るだけで歩く人だとわかる能力(光点歩行)人は隠れた腕も推測できるが、姿勢推定は隠れると見当違いの場所に点を打つか、点を抜かしてしまう
特徴犯人のモンタージュの「身長・服装・歩き方」の項目なしモンタージュの項目は人が選ぶ。座標をそのまま学習するモデルは、項目を自分で作る(セクション5のMLP)
ルールベース「走っている人は怪しい」という警備員の目分量なし警備員は文脈を見て目分量を修正するが、ルールは決めた条件の外の場面ではそのまま間違える
判定保留審判のビデオ判定の要求なしビデオ判定はまれにしか使わないが、保留区間を広げると管制員の仕事がまた増える

著者紹介と参考文献

E-1 著者紹介 · E-2 学術参考文献 · E-3 図と数字の出典

E-1 著者紹介

アン・サンソン(株式会社M-Robo代表)

韓国電気安全公社、毎日経済新聞を経て、現在は毎日経済の社外ベンチャーである株式会社M-Roboを創業し、代表を務めている。株式会社M-Roboは報道機関の社内ベンチャーとして始まったメディアベンチャーで、国民日報にロボット記者(ストックボット)を提供し、韓国インターネット振興院、韓国言論振興財団、韓国放送通信電波振興院などで多数のプロジェクトを手がけた。その後、自社のAIニュース新聞であるMoney-Roboを提供している。代表在任中にアジアオープンデータハッカソンで優勝し、データ創業分野の功労により行政安全部長官賞を2回受賞した。人工知能およびブロックチェーン分野で5件の特許の発明者・登録者である。著書に『AI犯罪と自己防衛』があり、フィンテック、統計学、人工知能の分野について、韓国技術教育大学校オンライン生涯教育院のeラーニングコンテンツを開発した。最終学位は経済学博士(東国大学校、ミクロ数理経済学)である。国民大学校、湖西大学校など複数の大学で、データおよび人工知能に関する科目を教えている。詳しいプロフィール

講義

  • アン・サンソン(2025)。『ビジネスのためのデータサイエンス』講義案。韓国オープンサイバー大学校 人工知能融合学科。
  • アン・サンソン(2025)。[K-デジタル] 人工知能 自然言語処理。STEP(スマート職業訓練プラットフォーム)、韓国技術教育大学校オンライン生涯教育院。
  • アン・サンソン(2024)。[K-デジタル] フィンテック データ分析の基礎。STEP(スマート職業訓練プラットフォーム)、韓国技術教育大学校オンライン生涯教育院。

STEP講義へのリンク:link.step.or.kr/1qyVoJ · link.step.or.kr/M9na9N · link.step.or.kr/brqEyc
サイトのリニューアルによりアクセスしにくい場合は、www.step.or.krからアクセスしてほしい。

論文と発表

  • アン・サンソン(2025)。国民老後保障パネルデータを活用した世帯支出予測モデルの研究:人工知能モデルに基づくアプローチ。『未来社会』、16(2)。原文
  • アン・サンソン(2025)。国民老後保障パネルデータを活用した世帯支出予測モデルの研究:人工知能アプローチ。国民老後保障パネル学術大会 発表資料(2025.05.13)、国民年金公団 国民年金研究院。発表資料
  • アン・サンソン(2025)。SNSテキストに基づく麻薬疑い取引の検出アルゴリズムに関する研究:パターンおよび文脈分析を中心に。『未来社会』、16(1)。原文
  • アン・サンソン(2024)。金融分野の異常検知モデルのセキュリティのための統計に基づく敵対的データへの対応策:実証分析とシミュレーション結果。『未来社会』、15(3)。原文
  • アン・サンソン(2024)。人工知能を活用した仮想キャラクターの特性に基づくSNS投稿検出ソリューション。2024 Summer Newmedia Party ポスター発表(2024.06.19)、ソウルメディア大学院大学校。
  • アン・サンソン(2024)。産業災害パネルデータを活用した機械学習モデル。第10回労災保険パネル学術大会 ポスター発表(2024.05.17)、勤労福祉公団 勤労福祉研究院。
  • アン・サンソン(2024)。暗号資産の時系列データの分析と予測:時系列モデルおよび人工知能モデルの比較と改善点の提示。『未来社会』、15(1)。原文

E-2 学術参考文献

  1. [R1] Cao, Z., Simon, T., Wei, S.-E., & Sheikh, Y. (2017). Realtime multi-person 2D pose estimation using part affinity fields. CVPR 2017, 7291–7299. arXiv:1611.08050 — セクション3(姿勢推定)
  2. [R2] Lin, T.-Y., Maire, M., Belongie, S., Hays, J., Perona, P., Ramanan, D., Dollár, P., & Zitnick, C. L. (2014). Microsoft COCO: Common objects in context. ECCV 2014, 740–755. arXiv:1405.0312 — セクション3(関節17点の体系)
  3. [R3] Redmon, J., Divvala, S., Girshick, R., & Farhadi, A. (2016). You only look once: Unified, real-time object detection. CVPR 2016, 779–788. arXiv:1506.02640 — セクション3(物体検出)
  4. [R4] Yan, S., Xiong, Y., & Lin, D. (2018). Spatial temporal graph convolutional networks for skeleton-based action recognition. AAAI 2018. arXiv:1801.07455 — セクション5(骨格に基づく行動認識)
  5. [R5] Lugaresi, C., Tang, J., Nash, H., McClanahan, C., Uboweja, E., Hays, M., Zhang, F., Chang, C.-L., Yong, M. G., Lee, J., Chang, W.-T., Hua, W., Georg, M., & Grundmann, M. (2019). MediaPipe: A framework for building perception pipelines. arXiv:1906.08172 — セクション3

E-3 図と数字の出典

  • 場面の図(路地のCCTV、管制室、特徴研究室)は著者が自作したピクセルアートである
  • セクション3の関節座標は路地の図から直接読み取った値であり、検出ボックスの確信度(0.94など)は説明用の例示値である
  • セクション4〜6の場面はすべて合成データである。セクション5の実験表とセクション6の重みだけが実際の学習(コード2)の結果である

教育者向けTIP

講師、実務OJT担当者、チューター向けの運営ガイドである。時間は目安なので、実際の授業に合わせて調整する。

対象映像AIに初めて触れる大学生・社会人。公共安全、施設管理、店舗運営でCCTV分析の導入を検討している実務担当者
前提知識写真が数字の行列であること(4-2)、座標と距離の計算(ピタゴラスの定理)、正解率の意味
学習目標① CCTV映像 → 物体検出 → 姿勢推定 → 特徴 → 判定の流れを説明する ② ルールと学習がそれぞれどんな場面で間違えるか例を挙げる ③ 誤報と見逃し、判定保留、個人情報をあわせて考慮した運用案を示す
目安時間読む35〜45分 · アニメーションの実演20分 · Colab実習25分(コード1 10分、コード2 実行1分 + 解釈14分)

3つの運営案

講義型50分

概念中心

導入5分(セクション1 通報)→ セクション2・3 画面から棒人間まで12分 → セクション4 6つの場面8分 → セクション5 ルールの基準値の実験10分 → セクション6 管制室10分 → 確認問題5分。

実務OJT 90分

導入検討中心

セクション1・3 15分 → セクション5の実験表を自分たちの現場の誤報コストで読み直す20分 → セクション6 判定保留の区間を決める討論15分 → セクション7 法・偏りのチェックリスト作り15分 → コード2の実行・解釈25分。

1対1チュータリング

レベル別の進度

入門者はセクション2・3・5の上の表・6だけ。中級者にはコード1のfeatures関数を手でたどらせたあと、新しい特徴(例:手とゴミ箱の最小距離)を1つ加えてコード2で成績を比べさせる。

セクションごとの運営ポイント

セクション立ち止まって問いかける質問操作のコツ
2 画面は数字「600万個の数字のどこに人がいるのか?」「数字で見る」でマスの大きさを64 → 16に小さくしてみる
3 人を探す「棒だけを残すと、何を失い何を守れるのか?」プライバシーモードをオンにしたまま次のセクションへ進む
4 時間へ「手を振るのと投げるのとでは、グラフのどこが違うのか?」2つの場面を交互に押して、黄色い線の高さを比べる
5 ルール対学習「基準値をどこに置けば6つの場面をすべて当てられるか?」スライダーを端まで動かして「ない」ことを確かめ、実験表へ進む
6 管制室「スコアが急に上がるフレームで何が起きたのか?」「落とす」を再生し、缶が地面に着いた瞬間に止める
7 限界「AIが警報を鳴らしたら、すぐに過料を科してよいのか?」判定保留と人による最終確認を結びつける

よくある誤解 Top 5

誤解正しい説明見せる場面
AIはCCTVの画面を人のように「見る」数字の格子を受け取り、段階ごとに計算する。人・ゴミ箱という名札は検出モデルが付けるセクション2「数字で見る」
腕を速く振れば投棄である手を振るのも速く、落とすのは遅い。結果(物体がどこに残ったか)のほうが強い手がかりであるセクション5 ルール1
正解率99.7%なら現場でも99.7%である合成データでの結果である。実際の映像では隠れ・暗さ・複数の人のせいで下がるセクション5 下の説明3
座標を丸ごと入れるディープラーニングのほうが常に優れているデータが少なければ、うまく選んだ少数の特徴が勝つこともあるセクション5 実験表のMLPの2行
棒人間だけを保存すれば個人情報の問題はないリスクを減らすだけで、なくしはしない。歩き方で人を見分けられることもあり、設置・保管の規定はそのまま守らなければならないセクション3 プライバシーモード、セクション7

確認問題(解説は押すと開く)

Q1. フルHD(1920 × 1080)カラーCCTVの1フレームの数字は何個か? 関節13点の棒人間と比べると何分の1か?

1920 × 1080 × 3 = 6,220,800個。棒人間は13 × 2 = 26個なので、6,220,800 ÷ 26 ≈ 239,262、約24万分の1である。

Q2. 右手首が1フレーム(1/15秒)の間に(−0.20, 0.80)から(−0.32, 0.88)へ動いた。手首の速度は何身長/秒か?

距離 = √(0.12² + 0.08²) ≈ 0.144。1/15秒の間なので0.144 × 15 ≈ 2.16 身長/秒。ルール1の基準2.0を超える。

Q3. ルール2(手首の速度 > 2.0 かつ物体を放した)が見逃す投棄の場面と、誤って捕まえる正常な場面を1つずつ挙げよ。

見逃し:足元に落とす(手首が遅い)。誤報:強く投げたがゴミ箱の中に入った「投げる」(速くて放したが投棄ではない)。

Q4. ロジスティック回帰の重みで、手首の速度に−0.33が付いた。「速いほど投棄ではない」という意味か?

そうではない。ほかの特徴(特にゴミ箱の外の距離)が一緒に入った状態での取り分である。ゴミ箱の外の距離がすでに投棄をほぼ説明しているので、速度には、手を振るように速いが正常な場面を少し押さえる役割だけが残った。重みを1つだけ切り離して解釈してはいけない。

Q5. 管制室のスコアが0.52なら、システムは何をすべきか? 基準を0.5の1つだけに決めた場合と何が違うか?

判定保留(0.4〜0.6)なので自動判定せず、管制要員に映像を回す。基準を1つにすると0.52はすぐに投棄警報になり、あいまいな場面の誤報がそのまま人に返ってくる。

Colab課題

基本

コード1に5つ目の特徴「缶を放した瞬間の手とゴミ箱の横方向の距離」を加える。6つの場面でこの値を表にまとめ、「入れる」と「落とす」を見分けるのに役立つかを2文で説明する。

挑戦

コード2のmake_datasetで学習場面の数を100 → 25 → 400と変え、ロジスティック回帰と「関節+物体+MLP」のテスト正解率を比べる。データ量によって2つの方式の差がどう変わるかをグラフで報告する。

難易度の調整と発展学習

入門者セクション4のグラフとセクション5の実験表は「どの場面で間違えたか」だけ読めば十分である
発展MediaPipeで自分で撮った短い映像(同意を得た演技)から関節座標を取り出し、コード1のfeaturesに入れてみさせる
次回5-2 見分けるから作るへ — 同じ特徴の表で矢印の向きを逆にして、動作を作り出す

ミッション5-1 完了!

「5-1 CCTVゴミ投棄」編を最後まで読みました。研究室の仲間たちがひと言ずつまとめます。

黒いフードに帽子をかぶった投棄者の棒人間の6つの姿勢。缶とゴミ袋を持っていて、投げて逃げる
博士
博士投棄犯を捕まえる道を最後まで来ましたね。
  • 画面は数字600万個、棒人間は26個
  • 速い腕は投棄の証拠ではない
  • いちばん強い手がかりは「缶がどこに残ったか」
助手
助手あいまいなら人がもう一度見る! 判定保留、覚えておきます。
ショウジョウバエ研究員
ショウジョウバエ研究員次は逆だよ。見分けていたAIが動作を作り出すんだ!